Number of Access this item:628(2025-04-28 17:42 Counts)
Identifier to cite or link to this item: https://hdl.handle.net/10086/30931
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診療所等の財務実態を正しく把握することは, 地域医療の持続性を確保するうえで不可欠だが, 従来, その実態は, 『医療経済実態調査』などでも十分には明らかにされていない。そこで筆者は, 診療所等を対象に, その経営類型に着目しつつ財務実態を明らかにした(荒井, 2020)。また医科診療所に限定して, 経営類型以外の各種法人属性の観点からの実態も明らかにした。しかし紙面の都合から, 歯科診療所に限定した同様の実態分析の結果は, 荒井(2020a)に収載できなかった。そこで本稿では, 歯科診療所のみを経営している法人に焦点を当てて, 経営類型以外の各種法人属性(法形態, 設立年代, 土地・建物所有状況, 資産額規模, 収益額規模, 所在都道府県)の観点からの種類区分別の財務実態を明らかにする。主要な分析結果は, 以下のとおりである。① どの利益率でも赤字法人割合でも, 社団持分なしの方が持分ありよりも採算性が良い。自己資本比率では持分有無による差はないが, 債務超過法人割合では社団持分ありの方が健全性が悪い。資産の利用効率性及び収益性は, 社団持分なしの方が高い。② 設立後経過年数が短い新しい法人群ほど, 事業利益率は高く, 赤字回避率も高い。自己資本比率には設立年代による傾向はないが, 債務超過法人割合は設立年代が古い法人群ほど高く, 健全性が悪い傾向がある。資産の利用効率性も収益性も, 設立年代が古い法人群ほど悪くなっている。③ どの利益率でも赤字法人割合でも, 土地や建物の所有状況による差はない。また土地では自己資本比率でも債務超過法人割合でも部分所有法人群が一番良い一方, 建物では自己資本比率では全部所有法人群が一番悪く, 債務超過法人割合では有意差はない。資産の利用効率性や収益性は, 土地でも建物でも賃借法人群の方が良い。④ 資産額規模でも収益額規模でも, どの利益率でも赤字回避率でも, 規模が大きいほど採算性が良い傾向(規模の経済)が見られる。またどちらの規模別でも, 自己資本比率でも債務超過法人割合でも, 規模が大きいほど健全性が良くなる傾向がある。資産の利用効率性は, 資産額規模が大きいほど低下(収穫逓減の法則が作用)している一方, 収益額規模については零細規模法人を除けば規模による大きな違いはない。資産収益性は, どちらの規模別でも規模が大きくなるにつれて高まる傾向が見られる。⑤ 各側面の財務実態を示すどの財務指標でも, 都道府県による大きな違いが確認された。⑥ 本稿で明らかにしたいずれの財務実態も, ほとんどの歯科診療所が管理会計を適切に活用していない現状の下での実態である点に, 留意が必要である。
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